「なんでや?」が飛び交い、よく学び・よく遊ぶ学会
愛知医科大学 眼科学講座
教授 瓶井 資弘
第79回日本臨床眼科学会を、2025年10月に大阪にて開催いたしました。
参加登録者数は11,300人を超え、ハイブリッド開催でありながら、約7,000名の先生方に現地まで足を運んでいただきました。
今回の臨眼は、テーマを『なんでや-知的好奇心』とし、学会の原点に立ち戻って、仮説の証明と討論を楽しむ学会にしたいという思いで準備を進めてまいりました。
特別講演では、相原一先生(東京大学)に、眼圧と戦うために行ってこられた研究成果と今後の課題について、門之園一明先生(横浜市立大学)には、硝子体手術の最前線と未来への展望についてご講演いただきました。
招待講演では、Judy E. Kim 先生(University of Texas Southwestern)に、網膜疾患の主要領域における世界標準の治療や紹介の目安、新しい技術の実際の応用ついて、Yoshihiro Yonekawa 先生(Wills Eye Hospital)には、小児網膜手術に加え、日本人が世界でどのように力を発揮し、活躍の場を広げていけるのかについてもご講演いただきました。感動を呼ぶ講演であり、終了後にはスタンディングオベーションが起こりました。
今回の臨眼では、一般講演から16題を Very Interesting Presentation(VIP)として選出し、質疑応答を14分へと拡大しました。会場は連日満席となり、活発な議論が交わされ、盛況のうちに終えることができました。
学会長企画シンポジウムでは、新たな予防や治療開発につながる「なぜ病気になるのか」、長年の研究の応用やAIを扱う「新しいテクノロジーをどう臨床に活かすか」、若手の道標を示す「師と弟子」、専門家から科学的根拠に基づいての治療法を学ぶ「治療選択の“なんでや”」といったテーマについて議論が深められました。
併設器械展示会では、4会場で10個のスタンプを集めると名古屋銘菓を受け取れるスタンプラリーを実施し、展示会場への導線づくりとして大きな役割を果たしました。
名古屋銘菓は日替わりで楽しめる形式とし、来場者にとっての楽しみを増やす工夫も加えました。
また、現地に足を運んでいただけるよう、大阪・関西万博のPRブースも誘致し、会場全体の回遊性向上に努めました。
その結果、延べ8,000名を超える先生方に器械展示会場にお立ち寄りいただき、展示会場は連日大変な賑わいとなりました。
本展示会の企画・運営にご協力いただきました日本眼科医療機器協会の皆様に、心より御礼申し上げます。
さらに、今年は学会プログラム終了後のため参加者が少なかった従来のイブニングセミナーを変更し、セミナー後にも学会発表があるアフタヌーンセミナーへと変更し、多くの先生方にご参加いただきました。同一時間に重なるセミナー数を約7割減らし、その分アフタヌーンセミナーがイブニングセミナーより数多く開催できたので、トータルの共催セミナー数は同じであっても、各会場の参加者は例年より2,3割多くなったと思います。
また、紙媒体の抄録集を廃止し、デジタル抄録集のみにしました。その活用を見据え、会場内のWi-Fiを増設し、円滑に情報へアクセスできる環境を整えました。
インストラクションコース(IC)は初日からオンデマンド視聴が可能となるようにし、参加形態に柔軟性を持たせました。
懇親会はユニバーサル・スタジオ・ジャパンで開催し、参加された先生方と楽しい時間を共有することができました。
全日程を通し、多くの先生方に積極的にご参加いただき、学会全体が活気に満ちたものとなりました。
その結果、学会テーマを体現する会となったことを嬉しく思います。
『何でだろう?』は人生を楽しむ魔法の言葉です。日々の臨床でも研究でも、「なんでや?」と問い続ける姿勢は学びを深め、人生を豊かにします。
この臨眼がそのきっかけとなっていれば望外の喜びです。
ご参加くださった皆様、ご支援いただいた企業・関係者の皆様に心より御礼申し上げます。














